うつ病に関したことだけではなく、心の病全般において、症状が進行してひどくなっていく理由は、
「何故このような病気になったのか」そして「自分はもう治らないのではないか」
と思い悩むことが最大の原因でもあるのです。
病気にはそうなった原因というものが必ずあります。
その原因は心の深層の領域に隠れているのです。
こういった原因を見つけ出せば本当に治せるのです。

うつ病を治すために。

何故うつ病になってしまうのか。

 うつ病になってしまう理由は、現在の環境におけるストレスと、子ども時代からの環境による精神的な学習(喜怒哀楽による情緒・情動の形成)が原因となります。
 思い出してみて下さい。あなたは子ども時代に、母親からもっとかわいがって欲しいと願い、親に認められるために頑張ってきたのではありませんか?
きょうだいの中で自分が一番愛されたい、かまって欲しいと求めながら諦めてきたのではありませんか?
近所の子や同級生が羨ましくありませんでしたか?
 こうした様々な満たされなかった思いが、現在の環境ストレスの中であなたを苦しめているのです。
 信じ難いと思われる方々も多いかと思いますが、心理分析をしながら、そういった子ども時代の抑圧された感情を明るみに出して解消していけば治るのです。
 自分の心を見つめることなくして生きてこられた方々にとって、こうした成育歴の中での情動の抑圧というものは、催眠療法・心理療法を体験してみて初めて分かる世界なのかもしれません。
 もし、あなたが、うつ病やその他の心の病にかかってしまったら、悩むことなく、これまでの人生を見直す好機だと気持ちを切り替えて、心の中を見つめ、人生の軌道修正を行ってみてはいかがでしょうか。将来人生を振り返った時に、有意義な時間であったことに気付かれることと思います。102.jpg

うつ病の隠れた現実。

 心の病の中でも、うつ病は精神的レジスタンスでありボイコットでもある面が強いのです。それゆえに、意識では早く治りたい、治さなければいけないという気持ちがしっかりと有っても、それとは裏腹に無意識では、まだ今は治るわけにはいかないという力が働いていることが多くあります。
 実際にうつ病などの症状で苦しんでいる方々にとっては、そんな馬鹿な!と思われることでしょう。一刻も早くこの苦しみから解放されたいという意思があることは確かです。しかしながら、無意識の領域では、心の病にかかっているが故に得している部分(疾病利得)をしっかりと分かっていることも多いものです。    
 もちろん、そうではなく精神的に追い込まれて苦しんでいることも多々あります。それゆえに、今の自分はどのような状況に至っているのかということを、専門家に客観的に判断してもらう必要があります。そうして適切な対処をしていくことです。
 うつ病は治せるのです。何度も言いますが、その他の心の病や精神的な苦痛なども本質は同じことで、適切な心理分析で、原因を正しく判断できれば、その原因にどのように対処していくべきかの答えが見つかります。方向性が定まれば後は時間の問題で治していけます。
 心の問題は、意識と無意識の両方の領域に働きかけなければならないのです。この二つの世界を修正できた時に、心の問題が解決するだけではなく、人生の軌道修正も成し遂げられるのです。
 うつ病に限らず、全ての心の問題は、生まれつきの気質(遺伝要因)が絡んできます。両親からの遺伝や互いの祖父母からの隔世遺伝によって、同じ両親の兄弟姉妹でも違った個性を持って生まれることが多いのです。もちろん、環境や状況に対する反応も違っています。いわゆる、性格や能力といった個人差と環境要因に対する脆弱性が違って生まれてくるのです。
 こうした生まれ持った個体差によって、心の病の種類や程度が決まってくるとも言えます。

幼児期からの影響(トラウマ)。

 うつ病が何歳で発症したとしても、うつ病には子供時代のトラウマが確実に反映されています。それがあるからこそ、現在の環境の中で、意識できないまま何かに苦しんでいるのです。あなたがもし、自分が苦しんでいる原因の全てを認識していると思っていても、それは勘違いなのです。ヒトの脳の構造からしてそれは無理なのです。c1.jpg意識は無意識領域の全てを把握していると錯覚し、意識内にある情報だけで理由付けを行います。 
 私たちは、一人一人が違った個性を持ってこの世に生れ出て、様々な環境の中で予期しない問題に遭遇し苦しみ、悩み、時としては自分一人の力では乗り越えられないで苦しんでしまうのです。
 もちろん専門家でない限り、人は自分の心の深層の領域に対しるトラウマの存在とその影響について認識せずに生きています。そうした人生において、何らかの混乱や挫折が生じたとき、心が病に至った時に、人生の軌道を修正するお手伝いができる出会い(邂逅)を私は心から生きがいにしております。

 「子ども時代を振り返ってみても、重大なトラウマになるような辛い思い出はないし、親ともうまくいっていた。現在もうまくいっている」 と答える人も多くいます。しかしながら、心の病に至っていない人であればそのまま放っておいても構わないでしょうが、そうでなければ幼児期の親子関係における自己の感情を見つめ直す必要があります。自分では気付かないまま、幼児期の不満や苦痛を引きずっているのです。自分はそうではないと思っていたとしても、必ず子ども時代のトラウマは見出せるのです。

「心の病は治せる」-脳科学と催眠療法-
 「心の病は治せる」 ―脳科学と催眠療法― 
著者:井手無動 出版社:本の泉社 定価:1300円


マインド・サイエンス独自の催眠療法LinkIcon

これまで、心の世界は深層心理学の内的世界としてしか捉えられること出来なかったのですが、近年の脳科学の発展により外的世界として“心”を見つめられるようになったことは、心の病を治す上において本当に喜こばしいことだと思っています。
そのお陰で、心の病を正しい催眠療法と心理療法の理論の下で治せるようになったのです。
脳科学の発達により、過去からの間違いや迷信的な理論を排除して、心の病に取り組んでいけるようになりました。
さらに、意識と無意識の世界を脳科学的にどう捉えているか、フロイト以来の精神分析から始まる深層心理学を、現代の脳科学がどのように裏付けているかを理解して頂きたいと願っています。